Jimmy Smith「The Cat」:オルガンの音が描くジャズ・ワールド、鍵盤の上でステップを踏むネコ

fujiokashinya
Mar 12, 2022

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日本のSNSをネコの画像が埋め尽くした2022年2月22日。ネコの写真を眺めつつ「ネコに関する曲って何かあるかな」とぼんやり考えていると、オルガン奏者Jimmy Smith「The Cat」が真っ先に浮かびました。1964年に発表されたアルバム『The Cat』の表題曲です。

なぜ『The Cat』を聴いてみようと思ったのか。いわゆるジャケ買いです。松本市の中古CD・レコード屋で、黒いネコが写るジャケットを目にして衝動的に購入しました。当時はジャズを聴いたこともJimmy Smithの名前を聞いたこともありません。多少は1970年代ロックやそれに影響を受けた曲に親しんでいたものの、オルガンが鳴っていてもほとんど意識していなかったと思います。ネコの姿が目に入ったからという、それだけの理由で『The Cat』を手にしました。

Jimmy Smithが弾いているオルガンはHammond B-3。これがHammondの音に触れた最初の機会だったのですが、その魅力を理解するには至らなかったのが正直なところです。けれども、後にプログレを知り、Keith EmersonやRick Wakeman、そして小室哲哉の演奏を通して、好きな音のひとつにオルガンが加わりました。

改めて「The Cat」を聴いてみると、Jimmy Smithの大胆なオルガン・プレイに魅了されます。ロックに組み込まれたオルガンの音が好きでしたが、こうしたジャズ・サウンドで屹立するオルガンもまた良いものです。ロックとは異なるたくましさというべきでしょうか、飄々としたなかにも芯の強さを感じます。心地よいオルガンの音は、しなやかに軽やかに歩くネコのようです。いつのまにやらネコが鍵盤の上を歩いて、音を奏でています。聴きたければ聴けばいいじゃない、とでも言いたげな表情を見せながら。

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