globe『FACES PLACES』[PART1]:1970年代ロックへの敬意と憧憬と挑戦

fujiokashinya
Sep 28, 2024

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globeが1997年に発表した『FACES PLACES』は自身が制作した音楽の中で「一番のロックアルバム」だと小室さんは2015年に語りました。音が最大級にロックなのか、それとも精神の面でロックなのか。サウンドの大きな特徴はエレクトリック・ギターとスネアです。さらに身体に突き刺さるサウンドを構成するパーツとして、パーカッションが機能します。

例えば「Because I LOVE the NIGHT」は、とても生っぽく、荒削りな質感のあるアレンジです。いうなれば、1970年代ロックへの敬意と憧憬と挑戦が入り混じってぶつかり合って生まれた曲。イントロから鳴り続けるギターのリフはその歪み具合がむしろ心地よく、サビメロのシンプルなリフレインはぐるぐると回る狂気の言葉のサークルを描きます。

パーカッションの存在感が大きいのも「Because I LOVE the NIGHT」の特徴です。アグレッシブに攻めるパーカッションというべきでしょうか。コンガの硬い音が曲を貫き、ギターに絡みついて、曲に漂うスリリングな空気を一際濃くします。そして、最後のサビのリフレインでは、ハーモニカがボーカルやコーラスに絡みつきます。この音がまたいい味を出しており、高揚感をキープしたまま最高のエンディングを迎えます。

この三人ならTMでもできない、もっと露骨なロック感を出すものができるのかなって。象徴的なのがセカンドアルバム『FACES PLACES』(97年)で、僕の歴史のなかで一番のロックアルバムです。
A quote from the interview with Tetsuya Komuro
Rolling Stone Japan Edition Vol. 101

艶っぽい、色気のある音で独特の空気を生み出しているのは「Anytime smokin’ cigarette」です。魅力的なリズムを存分に味わえるアレンジであり、身体を動かしたくなります。ひとつひとつの音からは夜のワンシーンが浮かびます。夜の隙間、夜の灯り、窓から差し込む夜の光。どこにでも行けそうな、しかしどこにも行けなさそうな光がカーテンの隙間から差し込み、部屋を断ち切る。二人を断ち切る。夜を断ち切る。

この曲からも1970年代カルチャーの空気を感じました。どこか猥雑な、洗練される前の泥臭さ。とてもクールでありながら、同時に滲むような汗を感じる。ギターとスネアがメインの印象を作り出し、少し後ろに下がった位置でパーカッションやハーモニカの音が響いて、聴き手を曲の世界に吸い込みます。エンディングは音がシンプルになり、まるで夜明けを迎えたかのようなイメージが浮かびます。灰皿に残る吸い殻が、夜を記憶する唯一の存在です。

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