Gacharic Spin「TAMASHII」：交差するふたつの歌声、たくましく美しい音に宿るバンドの魂
Aug 27, 2024
Gacharic Spinの二枚目のシングル「Don’t Let Me Down」には、表題曲に加えて二曲が収録されています。このシングルで二番目に聴ける曲が「TAMASHII」です。アルバムには収録されていませんが、シングルがストリーミングで配信されています。
このバンドを知って最新曲や過去の曲を聴くなかで、第一印象で胸を打たれた曲がいくつもあります。そうした吸引力の強い出会いがあった曲のひとつです。特に僕はエモ系のロック・サウンドが好きで、「TAMASHII」の雰囲気は「Identity」や「シナリオ」といった曲に近いものを感じます。
曲名の如く、バンドの魂を感じるアレンジです。エネルギッシュでスピード感あふれるボトムに、ギターとシンセサイザーのリフが泣けるメロディを乗せます。たくましさと美しさが共存するサウンド。離合集散を繰り返すギターとシンセサイザーは互いを引き立て、一方で火花を散らして屹立します。途中で音が抜けても身体に刻まれたリズムやリフの感覚が曲のスピード感を落としません。
濃密なバンド・サウンドの渦の中心で存在感を放つのは、はな（ドラムス兼ボーカル）とオレオレオナ（キーボード兼ボーカル）の歌声です。低音が強めのボーカルと高音を効かせるボーカルが交差し、ときに混ざり合う。メロディと一体化して、解き放たれたかのように音の間を縦横無尽に舞う歌声も「TAMASHII」の魅力です。
