Dua Lipa「Love Again」:体温の低い言葉が連なって聴き手の首筋に絡みつく
Dua Lipaのアルバム『Future Nostalgia』を聴いて、まずは「Levitating」を気に入り、続けて興味を持った曲が「Love Again」です。ストリングスの音から始まり、ポップでありながらどこかクールなサウンドが響きます。そのなかで、Dua Lipaの歌は淡々と言葉を紡ぎます。
気怠く冷めた雰囲気のボーカルが印象に残ります。Dua Lipaの歌はアッパーな雰囲気はなく、ダウナーというほどではないにしても、クールに言葉を連ねる特徴があります。「Love Again」だけが突出しているわけではないのですが、ストリングスが絡むためでしょうか、彼女の歌声の魅力がストレートに伝わってきます。歌声が醸す淡々とした雰囲気は、聴く人のなかに傷跡のような痕跡を残します。
リミックス・アルバム『Club Future Nostalgia』には別バージョンの「Love Again -Horse Meat Disco Remix-」が収録されています。冒頭からパーカッションの音が響き、一気に1980年代の空気が満ちます。ベースやシンセサイザーの音も含め、「擬似的ノスタルジー」ともいうべきものが聴き手を呑み込みます。初めて聴くはずなのに懐かしいと思えるのはなぜか?もともと持っていたノスタルジックな空気は、リミックスによって濃くなり、聴き手をいつかのダンスフロアに導きます。懐かしさへのタイム・トリップ。