Don Diablo「Never Change」:音はクールに心は熱く、聴き手を揺さぶるEDMの黄金体験
数々のDJ/プロデューサーを輩出するエレクトロ最前線国家のひとつ、オランダ。その一翼を担うDon Diabloの新曲「Never Change」が公開されています。僕は「You’re Not Alone」という曲で初めて彼の音を聴き、リミックスも含めてとても聴きやすいと思いました。彼のエレクトロニック・サウンドの使い方は、どこかレトロで、けれども心を熱くさせます。「Never Change」も最初に聴いた瞬間、琴線に触れる感覚がありました。素晴らしい曲です。
「Never Change」の特徴はクリーンな音で構築されているということです。ソフトな音もメタリックな音もありますが、クリーンという点が一貫しています。そしてそれらの音は、重ねていても、それぞれの音の輪郭が際立つところが良い。食材の味も、調味料やソースの味も楽しめる料理といったところでしょうか。シンセサイザーの音が好きな人は特に楽しめるアレンジだと思います。
エレクトロニック・ミュージックを得意とするアーティストは多く、次から次へと新しい曲を届けてくれます。何度聴いてもシンセサイザーの音は良いですね。時代がシフトするにつれ技術が進んだりトレンドが変化したりするため、使われるシンセサイザーの音も変わります。かつては「YAMAHA DX7の前後」でシンセサイザーの音は違うといわれましたが、最近であれば「EDM前後」や「ソフト・シンセ前後」ということになるのでしょうか。
エポック・メイキングな出来事を経て、音の雰囲気は変わります。そして、ひとつの傾向に収斂した後は、少しずつ広がり、解放されて、再び多様性が生まれる。今やEDMといっても、ひとつの色で語れないくらいに、バリエーションが存在します。ここ数年は多様なエレクトロニック・サウンドが楽しめる時期なんですよね。次の何かへの移行期なのかもしれませんが、それはそれとして、いろいろと混ざり合う世界はスリリングで楽しいものです。