chelmico「Easy Breezy」:ポップな緩さの中で閃く光、映像研の世界と組み合う共存関係

fujiokashinya
Feb 11, 2020

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イントロが鳴り始めた瞬間に思い浮かぶ、あの三人の不敵な笑み、不機嫌そうな顔、解き放たれた表情。そして訪れる心地好い脱力感。chelmicoというデュオのシングル「Easy Breezy」を聴いていると、奇妙な中毒性を感じながら時間が過ぎていきます。ゆっくりと身体中に回っていく毒のようです。

ヒップホップとポップスが混ざり合う「Easy Breezy」は、人を食ったような二人のラップが軽快な音に重なって、ポップな世界を作り上げます。重力から解放された言葉の連なりが頭の中に流れ込むと気持ちは軽くなり、心がほぐれます。ともすればほぐれすぎて、バラバラになるかもしれません。

「Easy Breezy」はアニメ『映像研には手を出すな!』のオープニング・テーマとして使われています。あの絵柄にマッチしているというべきか、妙な親和性を持って響きます。脱力するポップな緩さの中に、鋭い光を秘める世界。言葉にするのは野暮な気もしますが、そんな共通点を感じます。

聴けば聴くほど、「Easy Breezy」と『映像研には手を出すな!』は、これ以上ない共存関係にあると思えます。「Easy Breezy」が物語の一部に溶け込み、その世界を、そして「映像研」のクレイジーな情熱を補完する。一度結びついてしまうとなかなか離れない、一癖も二癖もある存在どうしの「共犯」関係。

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