BTS「ON」:歌は聴き手の心を呑み込み、道なき道を進み続ける

fujiokashinya
3 min readMar 16, 2020

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BTS (방탄소년단)

2020年2月、BTS방탄소년단)のアルバム『MAP OF THE SOUL: 7』がリリースされました。アルバムの中で最も注目された曲が、リード・トラックの「ON」です。第一印象だけでも曲の素晴らしさを感じられましたが、聴く回数を重ねることで、もっと好きになりました。聴き込む楽しさを与えてくれるのは良い曲の証です。

「ON」を聴いて、最初に強く印象に残ったのがオルガンの音です。僕はロックやジャズで使われるオルガンがとても好きで、サウンドの幅を広げてくれる楽器だと思っています。クールにもメランコリックにも聞こえる、想像力を刺激する音が魅力的です。その音に吸い込まれ、そして虜になる。絡みついて離れない腕のように、音の記憶は残り続けます。

ずしりと響くリズムに支えられ、オルガンを含むサウンドが歌声を包むと、ボーカルやラップの存在が一回りも二回りも大きくなって響きます。歌声はリズミカルに言葉をつなぎ、「ON」の世界を拓きます。

特に好きなのが ♪Rain be pourin’/Sky keep fallin’/Everyday, on na na na♪ の部分であり、同じメロディで最後に ♪All that I know/Is just goin’ on and on and on and on♪ という歌詞に変化するところは、もう最高です。

リリース前に「ON」が注目された大きな理由はSiaとのコラボレーションです。配信のみで、Siaのボーカルを混ぜたバージョンがアルバムの最後に収録されています。Siaのハスキーでソウルフルな歌声がBTSの美声と交錯することで、新しい立体感が生まれ、新しい価値を創出する。

彼女のボーカルが聞こえるところでポイントが切り替わるというべきか、レールが分岐して、オリジナルとは違う風景が見えます。がらりと印象を変えるわけではないのに、別物の曲として味わえます。楽しめるポイントがいくつもあり、「スポットライトが当たるのには理由がある」ということを実感できる曲です。

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Written by fujiokashinya

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