BTS『MAP OF THE SOUL: PERSONA』[PART1]:自信に裏打ちされたポップ・テイスト、高まるK-POPのプレゼンス
BTS(방탄소년단)のアルバム『MAP OF THE SOUL: PERSONA』は2019年4月にリリースされ、瞬く間にヒットを記録しました。本作は、『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』および『LOVE YOURSELF 結 ‘Answer’』に続き、三作連続でBillboard 200のトップを獲得しました。Halseyをフィーチャーした「Boy With Luv」もBillboard Hot 100の一桁台に食い込んでいます。
BTSの人気は数字で示されていますが、もちろんアルバムの内容も素晴らしい。ボーカルやラップ、ソングライティング、アレンジなど、さまざまな点で聴き応えのあるアルバムです。ひとつひとつに耳を傾け、じっくり聴き込むことで、七曲が持つ鮮やかな色が浮かび上がってきます。
『MAP OF THE SOUL: PERSONA』の開幕を告げる「Intro: Persona」では、RMのラップがこれでもかと前面に押し出されます。「アルバムの導入」と位置づけるだけでは充分ではありません。それ自体が個性の強い曲であり、聴き手を巻き込み、呑み込むパワーがあります。溢れんばかりの言葉をノイジーなギター・サウンドに盛り、Limp BizkitやLINKIN PARKのようなラップ・ロックに匹敵する厚みを感じさせます。
リード・トラックの「Boy With Luv」を聴いたとき、彼らのポップを捉えるセンスに驚いたものです。これだけ注目されている中で、その期待のど真ん中に打ち込む潔さ、それができる自信。揺るがぬ自信に裏打ちされたポップ・ミュージックの強さを目の当たりにしました。
アメリカの音楽番組でBTSが歌った「Boy With Luv」の動画がYouTubeにアップされています。ミュージック・ビデオでは編集を余儀なくされますが、ステージでは七人のパフォーマンスが余すところなく披露されるため、流れるように動く七つの立体的な軌跡を存分に楽しめます。“Good Morning America” では明るい屋外の舞台が爽やかな曲調にフィットしていますし、“The Lata Show with Stephen Colbert” ではThe Beatlesを思わせるセットでパフォーマンスを披露しています。
「Mikrokosmos」は「Boy With Luv」とは違ったタイプのポップ・テイストを見せてくれる曲です。柔らかいメロディが気持ちを穏やかにしてくれます。光の粒が弾けるように音が弾み、涼しげな風が吹き抜けるように歌も軽やかに舞う。この曲を聴いていると自らを縛っていたものから解放され、心地好い浮遊感が味わえます。