BTS「Make It Right [feat. Lauv] -Acoustic/EDM Remix-」:新しい音が原曲の魅力を増幅し、新しい音楽世界の扉を開く
BTS(방탄소년단)がLauvとコラボレーションした「Make It Right」は、彼らの美声を堪能できる素晴らしい曲です。シングルカットされた後、それほど間を置かずに2種類のリミックスが発表されました。BTSの曲で好きな曲のひとつなので、こうして複数のバージョンを聴けるのはとても嬉しいことです。
新しく公開されたバージョンの一方はアコースティック・サウンドでアレンジされたAcoustic Remix、もう一方はエレクトロで味付けされたEDM Remixです。どちらのリミックスも原曲の雰囲気を踏襲しつつ、それぞれの音で原曲の良さをアンプリファイしています。音の構成や重ね方、ボーカルとサウンドの位置関係といった観点から聴くと、曲の世界により深く入り込むことができます。
Acoustic Remixのサウンドはアコースティック・ギターを主体にしており、叙情的な弦の響きが胸に沁みます。また、リズムを構成するのは、序盤はパーカッション、途中からはドラムの音です。渋く響くベースと絡み合って、静かながら叙情的な音が広がります。音によって浮かび上がる曲の輪郭をなぞり、歌声と絡む音を味わいながら聴きたいアレンジです。
歌声の存在感がぐっと増していると思えるのもAcoustic Remixのポイントです。アコースティック・ギターやリズムが心地好いこのアレンジでは、これらの音が歌声と絡み、原曲とは異なる雰囲気を生み出します。原曲の音もかなりシンプルなのですが、また違うシンプルさを持ったリミックスであり、歌声との関係にも影響しているのかなと思います。
エレクトロらしい音の連なりでコーティングされたEDM Remixは、EDMという言葉を冠しているものの、原曲の穏やかさを残しています。このリミックスの肝は、EDMの肉食的なイメージからは少し離れながらも、熱くさせるポイントを備えているところでしょう。intelligenceとagitationとでもいいますか、相反する要素を同居させたエレクトロニック・ミュージックなのではないでしょうか。
ボーカルを活かしながら組み立てられたエレクトロニック・サウンドは心地好く、音に浸りながら身体を動かしたい。そして終盤のシンセサイザーが咆哮し、最後のChorus部分につなげて盛り上がる展開は、EDMの魅力を存分に感じ取ることができます。心を震わせる鮮やかな音の構成、音のレイヤーを味わえるつくりがとても好きです。エレクトロならではの曲の展開をぜひ堪能してください。