BTS「Lights/Boy With Luv/IDOL」:光を放つ歌声のギフト
BTS(방탄소년단)がミディアム・テンポの新曲「Lights」をストリーミングおよびCDでリリースしました。彼らの美しい歌声を存分に味わえる曲です。歌詞は日本語で書かれており、日本のファンに向けたギフトという感じでしょうか。いずれ韓国語や英語で歌うバージョンが出るのかもしれません。
そこそこ長くEDMやロック、ジャズやファンクなどを聴いてきて、最近は、音楽における「ポップ」の魅力を噛み締めています。そのためか、BTSなどを通してすんなりと身体に入ってくるポップさが心地好い。彼らはポップであることを究めようとして、進化と深化を続けている。BTSの曲を聴くたびにそう思います。
もともとヒップホップを軸にしたグループではありますが、ファンクやエレクトロなどの要素を含みつつ、どの曲も親しみやすい。常に優れたポップ・センスが感じられ、「Lights」のような王道のポップスになると、それが全面に押し出されます。そのセンスを堪能するために、じっくりと耳を傾けてみましょう。
シングルには、これまでにリリースされた曲の日本語版が収録されています。そのひとつが記憶に新しい「Boy With Luv」です。僕はさまざまなアーティストが新曲を出すと、まずは新曲用のプレイリストに放り込んで聴きます。その中で、リリースから3ヶ月にわたって上位をキープしているのが「Boy With Luv」のオリジナルです。
日本語版を聴いてみると、オリジナルの韓国語との響きの違いを楽しむことができます。歌詞のメロディへの載せ方が、韓国語と日本語では異なり、韓国語は英語の方に近いのかなと思いました。特にラップのパート(SUGA、J-HOPE、RM)を聴くと、韓国語の方が滑らかに流れる印象を受けます。
もう一曲は「IDOL」です。2018年にリリースされた曲ですが、七人で歌うオリジナルの他に、Nicki Minajをフィーチャーしたバージョンがアルバムのボーナス・トラックとして収録されています。どこかラテン・ミュージックの雰囲気を感じさせる曲であり、ヒップホップやエレクトロなどの要素と混ざり合って、実に混沌としたトイボックスを思わせます。
「IDOL」の日本語版は、オリジナルと比べて印象が変わった気がしません。なぜか? おそらくオリジナルを聴いた時間の差だろうと思います。「IDOL」のオリジナルを聴いたのは、このシングルを聴いた後であり、「Boy With Luv」の3ヶ月に比べると、ほとんど聴いていないに等しい。白紙の状態でオリジナルと日本語版を聴いても、言語の違いはあまり際立たないのかもしれません。
「Lights」のリリースに伴ない、日本でのプロモーションにも力が入っており、その熱にファンも呼応しています。BTSが表紙を飾った『CanCam』が予約だけで完売となって、発売前にもかかわらず増刷が決まるというアナウンスに驚きました。
人気の漫画や小説であればそこまで驚かないのですが、全体的に発行部数が落ちている雑誌では珍しいことなのではないでしょうか。背景には国内のみならず海外からも注文が「殺到」したことがあるようで、彼らの影響力の大きさを改めて感じる出来事です。