BTS「Butter」:2分45秒が紡ぐ鮮やかなドラマは、世界の心を照らし、身体を揺らす
もはやK-POPという枠組みに収めるのは難しい存在となったBTS(방탄소년단)。彼らの新曲「Butter」が発表されました。ポップでダンサブル、そして美しい。心はぎゅっとつかまれ、身体をそのリズムに委ねたくなります。歌も音も、ずっと聴いていたい。この曲を同時代的に聴ける、そのことに感謝します。
「Butter」の収録時間は2分45秒です。歌モノとしては明らかに短いものの、展開はドラマチックで、その起伏のダイナミックさは3分未満とは思えません。声の配分が絶妙で、音だけで魅せる間奏や、ラップを中心に盛り上がる終盤が引き立ちます。その構成は素晴らしく、もっともっと聴きたいと思わせる仕掛けのように思えます。
クリーンなエレクトロニック・サウンドを組み合わせ、明るい印象の音になっています。全体的にシンプルな音であり、各パートが奏でるメロディの良さがストレートに伝わってきます。上モノだけではなく、たとえば曲を支えるベースの音も魅力的です。シンプルかつボリュームのある豊潤なサウンドが聴けます。
特筆すべきは、音源では1:30~1:50、ビデオではエレベーターのような部屋で一人ずつ踊る間奏です。同じメロディを太い音で、次いで薄い音で奏でるこの部分は、どことなくレトロですが、古くは感じず、むしろ瑞々しく鮮やかに響きます。この音は、同時に配信されたインストゥルメンタルではカットされていますが、間奏を長くしたextended mixや強調したリミックスがあれば聴いてみたいものです。