BTS「Boy With Luv [feat. Halsey]」:ボーカルはグラデーションを描き、ラップは鮮やかな色を放ち、ワールドワイドに駆け巡る

fujiokashinya
4 min readApr 30, 2019

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BTS and Halsey

K-POPというカテゴリーを越えて、今やBTS(방탄소년단)はポップ・ミュージックを牽引する存在のひとつとなっています。彼らの新曲「Boy With Luv」は、2019年4月にリリースされた新しいアルバム『MAP OF THE SOUL: PERSONA』のリード・トラックです。

BTSのボーカルとラップに、アメリカ出身のシンガー・ソングライターであるHalseyのボーカルを加えています。また、BTSのチームやHalseyだけではなく幾人かの作家が作曲に参加しており、Billboardの記事にはMelanie Joy FontanaとEmily Weisbandというソングライターのインタビューが掲載されています。ふたりとも、書いている時点でHalseyの参加を知らなかったそうな。

Halseyは自身のアルバムで結果を残しつつ、The ChainsmokersやJustin Bieberなどとのコラボレーションも実現させており、素晴らしい歌声の持ち主であることを証明しています。BTSとのコラボレーションである「Boy With Luv」も素晴らしい作品です。BTSの持ち味である美しくタフな歌声のアンサンブルに、ソフトだけども芯の太いHalseyの歌声が混ざり、より間口の広い、親しみやすい曲に仕上がりました。

Boy With Luv [feat. Halsey] (Music Video)

サウンドの特徴は身体を動かしたくなるノリの良さ、軽快さでしょう。その中でも印象に残るのが、ファンクらしさを全開にしたギターの音です。前に出たり後ろに下がったりして、全体を通して大きなプレゼンスを示します。特にRMがラップを披露する部分ではギターの刻む音がダイレクトに届きます。

BTSのボーカルには七人それぞれのカラーが出ており、しかもそれは七色どころか、それ以上の色が見える気がします。歌声のポジションは目まぐるしく変わり、その色はグラデーションを描いて変化します。対して、間に差し込まれるラップはビビッドな色を主張します。ボーカルは美しく繊細に染め上げられた布が風になびくようで、ラップは翻る旗のごとく自己の存在を示します。

Boy With Luv [feat. Halsey] (Music Video “ARMY With Luv” Version)

アルバムのリリースと同時に「Boy With Luv」のミュージック・ビデオが公開されました。1980年代(あるいはそれよりも前)のアメリカを思わせるセットを組み、その中で息の合ったシャープかつ流麗なパフォーマンスを披露します。ポップという要素を突き詰めて、多くの人に届くであろうその表現は、BTSというチーム全体の自信を表わしている気がします。一見してold-fashionedな演出であっても、今という時間に組み込み、呑み込んで今の表現に仕上げている。圧倒的に「今」を感じるのがBTSなのです。

「Boy With Luv」はBillboard Hot 100で初登場8位を獲得しました。これまでの躍進を知っていれば、チャート上位に食い込むことを予想するのは特に難しいことではありません。それでも実際にその結果を見ると、勢いというか追い風というか、BTSが生み出すムーブメントの強さを感じます。Grammysの記事では “K-POP Kings” と書かれており、その言葉が大袈裟ではないと思えるほど、BTSはポップ・ミュージックの最前線で存在感を示しています。

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