AVICII TRIBUTE CONCERT: IN LOVING MEMORY OF TIM BERGLING

fujiokashinya
4 min readDec 11, 2019

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AVICII

AVICIIことTim Berglingがこの世を去って1年半以上が過ぎましたが、彼が遺した音楽は今もなお僕らの心に響き渡ります。2019年12月、〈AVICII TRIBUTE CONCERT: IN LOVING MEMORY OF TIM BERGLING〉がストックホルムで開催され、僕はYouTubeのリアルタイム配信で観ました。次々と披露される曲は、会場そしてストリーミングで観ている人々の記憶を刺激し、感動を呼び起こしました。

AVICIIに縁のあったミュージシャンが多数出演し、彼が作ったメロディを奏で、歌い、彼に手向けます。AVICIIの音楽スタイルの基本はエレクトロニック・ミュージックですが、このコンサートではバンドの生演奏をメインにしていました。バンド、ストリングス、ホーンの織り成す音がエレクトロニック・サウンドに重なり、膨らみのあるサウンドを生み出します。ときにアコースティックに、ときにファンキーに音が踊り、そこにコーラス隊のハーモニー、さまざまなシンガーたちの個性的な歌声が加わります。

どの曲のパフォーマンスも素晴らしく、Rita OraやAdam Lambertなど書き残すべき場面は枚挙に暇がありません。しかし特筆すべきだと思うのは、Aloe Blaccが参加した曲です。ステージに現われたAloe Blaccはいくつかの言葉を残し、「SOS」を歌います。2019年にリリースされた『TIM』(未完成の曲をAVICIIの仕事仲間たちが仕上げたアルバム)のリード・シングルとして配信された曲です。音は切なさを醸しながらも軽快で、Aloe Blaccが紡ぐ叙情的な歌メロとともに、AVICIIが描いた音楽世界を浮かび上がらせます。

Aloe Blaccはコンサートの終盤にも姿を見せ、ヒット・ソング「Wake Me Up」を歌います。この曲は、エレクトロの世界から飛び出したともいえるアルバム『True』に収録され、ミュージック・ビデオとともに多くの人に届きました。日本のテレビ番組でもよく使われており、AVICIIをあまり知らなくても、Chorus部分のメロディを聴けば思い出す人は多いのではないでしょうか。カントリー調のアコースティック・ギターの音がエレクトロニック・サウンドと交わり、そこにAloe Blaccのタフな歌声が重なります。力強さと軽快さを兼ね備えた、程よい疾走感が心地好い曲です。

AVICII TRIBUTE CONCERT: IN LOVING MEMORY OF TIM BERGLING

このコンサートで初めて聴き、その存在を知った曲もあります。それが、彼のキャリアの初期に発表した「Tweet It」です。Tim Bergの名義で、Norman DorayとSebastien Drumsと共作した曲です。ハウス・ミュージックらしいループは中毒性が高く、聴けば聴くほど身体に染み込みます。渦に呑み込まれるように、音の虜になりました。

イントロが流れた瞬間に僕のボルテージを上げた曲、それが「Sunset Jesus」です。2015年にリリースされた『Stories』で聴けますが、アルバムの中で最も好きで、何度聴いても熱くなります。この曲のChorus部分は、「Dear Boy」という曲のセルフ・リミックスで使ったフレーズを借用しています。同じフレーズを別の角度で楽しめるところが好きですし、何といってもメロディ自体がとても気持ちいいのです。また、このコンサートでは、ホーンとストリングスが重なるアレンジに魅了されました。ファンクの要素が加わることで、この曲がもっと好きになりました。

最後に流れた曲は、AVICIIファンのアンセムというべき「Levels」。聴いているうちに、思わず涙が浮かびました。泣きそうだったのではなく、本当に泣いたのです。この曲のメロディはとてもとても美しい。その美しさが呼び起こした涙です。「Levels」はこの特別なコンサートの終幕を飾るのに相応しい曲だったと思います。

ステージも観客席も含め会場にいた人々、インターネットを通じて同じ時間を共有した人々。それぞれにAVICIIの姿を思い浮かべ、それぞれの思いがあったことでしょう。歓声を、そして思いを届けたい人がいないステージですが、それらは彼の素晴らしい曲を通じて、彼に届けられたのだと思います。AVICIIの音楽は、それを愛した人々の記憶に刻み込まれて、生き続けます。

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Written by fujiokashinya

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