AVICII「The Nights -Avicii By Avicii-」:サウンドに熱を与え、フロアで解き放つリミックス
アーティストが自分の曲をリミックスしたものを、海外の音楽シーンでは「VIP (Variation In Production) Mix」と呼ぶのが慣例です。同じ意味で、AVICIIは「Avicii By Avicii」という名称を使いました。2014年にアルバム『True: Avicii By Avicii』でデビュー・アルバムの曲をリミックスし、翌年にはAvicii By Aviciiの一環として「The Nights」の新しいバージョンを配信しました。
オリジナルの『True』に比べ、『True: Avicii By Avicii』はダンス・ミュージックに寄る傾向が見られました。『True』はハウス・ミュージックとポップスをブレンドし、さらにカントリー・ミュージックの雰囲気やブルージーに響くアコースティック・ギターが随所に顔を出します。対して、Avicii By Aviciiでのアプローチはポップスの色を薄め、アコースティック系の音を減らしてEDMシーンにフィットする音を前面に押し出しました。
「The Nights -Avicii By Avicii-」で印象に残るのはダブステップさながらのベースです。オリジナルではシンセサイザーのクリアな音で引っ張っていた箇所が、重くてノイジーなベースの音で埋め尽くされます。オリジナルの「The Nights」が開放的な野外ステージに似合う曲だとすれば、Avicii By Aviciiのバージョンはクラブの空間を沸かせるのに向いているといえます。音との距離が近く感じられるリミックスです。