AVICII「Lonely Together [feat. Rita Ora]」:歌声は心の内側に触れ、崩れ落ちそうな世界の輪郭を描く ◢ ◤
2019年12月に開かれた〈AVICII TRIBUTE CONCERT: IN LOVING MEMORY OF TIM BERGLING〉では、AVICIIのキャリアを彩ったさまざまな曲が演奏されました。その中には、自分がしばらく聴いていなかった曲も含まれています。そうした曲を改めて聴くことで、各曲の魅力に「再会」する機会に恵まれました。
今の感性だからこそ湧き上がる気持ちや感動があります。このコンサートで「再会」した曲のひとつが、Rita Oraが歌った「Lonely Together」です。2017年に発表された『AVĪCI 01』というextended playで聴くことができます。
「Lonely Together」で聴けるRita Oraの歌声を一言で形容するならば、やはり「美しい」という言葉を選びます。けれども、それだけでは言い表わせない魅力を感じます。柔らかさもあり、優しさもある。指先で心の内側にそっと触れる、そんなイメージが浮かびます。
「Lonely Together」というタイトルには、絶望ではないけれど希望に満ちているわけでもない、切ない空気が漂います。Chorus部分の ♪Let’s be lonely together A little less lonely together♪ が印象に残ります。軽く触れただけで崩れそうな、脆い世界の輪郭を描くのがRita Oraの歌です。
Rita Oraのボーカルは美しさや優しさに加え、エレクトロニック・サウンドの中で屹立するパワーを持ちます。それを感じられるのが、複数のDJ/producerが参加したRemixesであり、中でも僕はAlan Walkerのリミックスが好きです。
Alan Walkerのアレンジの特徴は軽快に跳ねる感じと濃密な音の共存ではないかと思います。「Lonely Together」のリミックスでも、彼らしい軽快なフレーズ、軽やかでありながら密度の大きいエレクトロニック・サウンドを聴かせてくれます。その中で舞うRita Oraの歌声が胸に迫ります。