AVICII「Levels」:心を解き放つ音のスパイラル、多くの笑顔を咲かせるメロディ ◢ ◤

fujiokashinya
Jan 2, 2020

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AVICIIの代表曲は何かと問われて、間髪入れずに「Levels」と答えるファンは多いと思います。もちろん、2013年に発表された「Wake Me Up」を挙げる人も少なくないはずですが、2013年より前からAVICIIを知っている人はきっと「Levels」を選ぶことでしょう。

「Levels」は2010年からプレイされ始め、シングルとしてリリースされたのは2011年です。いくつかの印象的なフレーズが組み合わさったハウス・ミュージックであり、特にChorus部分でループし続けるメロディが聴き手を曲の虜にします。

間に差し込まれた歌は、R&BシンガーEtta James「Something’s Got A Hold On Me」です。現代的なメタリックな輝きを放つAVICIIの音に、Etta Jamesの歌声がざらざらしたオールディーズな質感を付与し、「Levels」の音楽世界を立体的に仕上げています。

ステージは暗くなり、会場にソウルフルな歌声が響き渡ります。2019年12月、「Levels」は〈AVICII TRIBUTE CONCERT: IN LOVING MEMORY OF TIM BERGLING〉の最後を飾りました。シンセサイザーの美しい音がバンドやストリングスの音と混ざり合い、強く強く胸を打ちます。

メロディの美しさは前から知っていたものの、このコンサートで聴いたことで、何倍にも増幅され、新たに記憶に刻み込まれました。何度も聴いて慣れ親しんだ曲であっても、何かの拍子に再び強く惹かれることがあります。記憶を刷新する音楽体験です。

美しいフレーズが続く、続く、続く。心の一部をもぎ取られます。このまま終わらなければいいのにと思いながら、音のループの心地好さに酔い、その中に意識が深く閉じ込められます。けれども心は解放されます。「Levels」が演奏されている間、観客席に向けられたカメラが多くの笑顔を映していたのが印象的でした。

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