AVICII and Sebastien Drums「Snus」:ループ・サウンドが引き寄せる音楽的中毒症状
AVICIIとSebastien Drumsが制作した曲の魅力は、ハウス系の音を前面に押し出し、印象的なフレーズを徹底的にリフレインする点でしょう。例えば「My Feelings For You」やNorman Dorayが加わった「Tweet It」を聴くと、いつ終わるとも知れないフレーズの奔流に魅了されます。そして「Snus」も強烈なインパクトを残す曲です。オリジナルの発表は2011年。時を経て2024年にTony Romeraによるリミックスがシングルとしてリリースされました。リミックスとともにオリジナルのRadio Editも収録されています。
「スヌース(snus)」とは煙が出ない煙草の一種で、AVICIIの故郷スウェーデンで生まれた煙草だそうな。イメージが曲名に引っ張られたのか、ループする音が煙草を手に取る感覚に重なります。メインのフレーズを徹底して繰り返すアプローチが、中毒に似た体験を聴く人に与えます。僕も例外ではありません。もう煙草を吸うことはありませんが、無意識にパッケージから一本抜き取ってしまうオートマティックな感覚を思い出しました。
Tony Romera Remixはオリジナルの印象を引き継ぎながら、随所で独自のアプローチを組み込みます。同じ系統の音と言えるものの、オリジナルとは違う印象を受けます。浮遊感が強くなるように加工され、しかも音のコントラストが強めだからか、そこから放り出される落差もある。変化する音に対して感度を上げて聴きたいリミックスです。