AAA「Joy to the love」:声が交錯するポップなパフォーマンス、言葉の狭間に浮かぶのは小さな閉塞感

fujiokashinya
Feb 15, 2024

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2015年にリリースされたglobeの企画盤『#globe20th SPECIAL COVER BEST』で気に入った曲はHYDEの「DEPARTURES」、hitomiの「Anytime smokin’ cigarette」、そしてAAAによる「Joy to the love」です。どの曲もオリジナルとの違いとともにオリジナルへの敬意が感じられます。

globeのデビュー・アルバムに収録された「Joy to the love」は陽気な曲です。メロディのポップさ、からりとした空気のなかで、歌詞は微妙に倦怠感が漂います。そのミスマッチに魅力を感じます。深刻な問題ではないけれど、日常のふとした瞬間に顔を出す閉塞感。微妙な気怠さ、軽い閉塞感を抱えたまま10代、20代を過ごす人々を描いたのでしょうか。

AAAの魅力のひとつはメンバーの声が交錯し、混ざり合うところです。かつて「WOW WAR TONIGHT」 をカバーしたときは男性陣の声を中心に構築されましたが、「Joy to the love」では女性陣が大きなウェイトを占めます。表を女性が歌い、男性は裏に回る。女性二人のボーカル表現が強く印象に残る一方で、裏で歌う男性陣の歌声も心地よい。

SKY-HIこと日高光啓のラップが活きる曲でもあります。これまで聴いた日本語ラップのなかで、彼のラップが一番好きです。メロディや音を潰さずに、むしろ馴染み、巧みに乗りこなすラップなのではないでしょうか。「Joy to the love」のカバーでは、Marc Pantherのコピーではなく新たにリリックを書いて録音していますが、SKY-HI独特の声の重ね方がぴたりとはまり、曲を盛り上げます。

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Written by fujiokashinya

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