藍井エイル「PHOENIX PRAYER」「蝋燭メトロノーム」「Discord」:強烈な存在感を放つ曲が集まり、多様な音楽表現が交差する

fujiokashinya
Feb 21, 2022

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2022年2月、藍井エイルのシングル「PHOENIX PRAYER」がリリースされました。先行して配信されていた表題曲に、ふたつの新曲と表題曲のインストゥルメンタルを加えた一枚です。1月に配信され始めてから頻繁に聴いてきた「PHOENIX PRAYER」も、新たに聴き始めた曲も素晴らしい。どれが表題曲でも違和感がないと僕は思います。

力強さや繊細さが行き来するダイナミックなボーカル表現、ヘビーながらも美しさが感じられるバンド・サウンド。「PHOENIX PRAYER」を聴くたびに感動します。Cö shu Nieによるソングライティングおよびアレンジが素晴らしく、クオリティの高いコラボレーションに出会えたことに感謝するばかりです。

バックトラックの魅力がダイレクトに伝わってくるのが、シングルの最後に収録された「PHOENIX PRAYER -Instrumental-」です。何度も聴いたこの曲のインストゥルメンタルを聴いてみると、特にリズム・セクションの存在感がとてつもなく大きいことを実感します。ベースとドラムの分厚い音が作り上げた世界は、ギターやストリングスといった他の音を巻き込み、聴く人を感動の渦に巻き込みます。

新曲の「蝋燭メトロノーム」を聴いて、まず印象に残ったのが、軽やかに響くキーボード・サウンドです。このリズミカルな音が身体を刺激します。そして他の音もダンサブルに響きます。色気のあるベースやドラムが、もっと踊れと言わんばかりに心地よいリズムを生み出し、間奏で披露されるギターやピアノは、パフォーマーのソロパートのような存在感を漂わせます。一方、ボーカルはいつもの伸びやかな歌声と雰囲気を異にします。少しラップに近いというべきか、細かく言葉を音符に載せる歌い回しが新鮮でした。♪ちょっと痛いだけなんだよ愛だよ♪ や ♪愛し愛され特に愛したい♪ など、韻を踏む箇所が強調され、耳に残る歌い方なのではないでしょうか。

もう一方の新曲のタイトルは「Discord」です。この曲の演奏は、奔放なインプロヴィゼーションを目の当たりにしているかのようにスリリングで、鋭い音の連鎖にぞくぞくします。アグレッシブな演奏スタイルのピアノ、随所に差し込まれたアコースティック・ギターの音など、心に刺さるプレイが張り巡らされています。とりわけ強く印象に残った音が、間奏で強烈な存在感を放つピアノです。ジャズの速弾きを思わせるダイナミックな演奏は、ノンストップで音を送り込み、聴く人をアジテートします。

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Written by fujiokashinya

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