藍井エイル「IGNITE -Fairlane Remix-」:EDMの衣をまとって輝くメロディ、際立つ歌声のプレゼンス

fujiokashinya
Nov 23, 2021

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藍井エイルのサウンドといえば、真っ先に思い浮かぶのはロックです。ギターやピアノの音を中心に据えたロック・ソングが大部分を占めており、シンセサイザーの音を前面に出すエレクトロのようなジャンルの曲は限られています。

そんななか、エイルの曲をEDMでリミックスするという珍しい出来事がありました。「Sakura Chill Beats」という企画の一環として制作されたもので、対象になった曲は「IGNITE」です。ロックのイメージが定着している代表曲であり、落差が大きい選曲といえます。「IGNITE -Fairlane Remix-」のエレクトロニック・サウンドはきらびやかでありながら、厚みもあり、大胆に上下する音のうねりに魅せられます。「アンリアル トリップ」(ケンモチヒデフミとの共作)でEDMに寄ったと感じましたが、さらにEDMの要素が強まりました。

Eir Aoi: IGNITE -Fairlane Remix-

オリジナルはサビに入ったところで一気に盛り上がりますが、Fairlane Remixではそれを助走にして、サビの後半で歌をミュートして、シンセサイザー・サウンドを爆発させます。Chorus(サビ)でエレクトロニック・サウンドが主役になり、その前段階として歌が存在するのはEDMのスタイルです。かと思えば、二番に入ると今度は、サビの歌とシンセサイザーの音が混ざり合って相乗効果を生み出し、さらに盛り上がります。ボーカルを素材とするEDMらしい展開と、エイルの歌声のプレゼンスが同居するリミックスです。

思い返せば、THE FIRST TAKEで「IGNITE」が披露されたとき、音はピアノだけでした。それでも曲の勢いは衰えず、むしろピアノの鋭い音が強烈なインパクトを残しました。THE FIRST TAKEによって更新された「IGNITE」のイメージが、Fairlane Remixによってさらに拡張します。新しい解釈を施された音楽は、新しいイメージを聴き手に与え、新しい音楽体験をもたらします。

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Written by fujiokashinya

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