焦田シューマイ・おみおみ・木場健介『ザコ姫さまは生きのびたい!~処刑の危機は、姫プレイで乗り切ります~』:度胸と情報を武器に生き抜く物語、彩るのは細密かつ美麗な絵
ガンガンONLINEで漫画『ザコ姫さまは生きのびたい!~処刑の危機は、姫プレイで乗り切ります~』(原作:焦田シューマイ、作画:おみおみ、構成:木場健介)が連載されています。読み切りが多くの読者から高評価を得て、晴れて2023年から連載が始まりました。
廃ゲーマーだった主人公がゲーム内の登場人物(セスリアという名の皇女)に転生したところから物語が始まります。ゲームではやがて処刑されてしまうキャラクターですが、自らの運命をひっくり返すべく奮闘する姿を描きます。一難去ってまた一難。権力もない味方もいない能力も低いザコステお姫様は、度胸と情報を武器に次々訪れる危機を乗り越えます。
テンポよく進むストーリーや随所に差し込まれる小ネタもさることながら、おみおみの絵が読者を圧倒します。セスリアたちの豊かな表情に加え、王城や貴族の衣装などの描写がとても細密で美麗です。最新話が更新されるたび、人物の眼やドレス、城内や庭園などの描き込み具合に驚いています。加えて2023年4月に刊行された第1巻では、デザイナーによってさらに美しく仕上げられたカバーや本扉のカラー絵を印刷物で見て感動しました。
おみおみさんの作品は以前から多少知っており、ポートフォリオをWebで目にして感銘を受けていました。なかでも僕が好きなのが、noteに投稿された「水晶の女の子」というタイトルの絵です。細部にまで意識が張り巡らされた繊細な描写、深く沈む濃密な青を中心とした色使いが、鑑賞者を絵の世界に誘い込みます。